先日県外に住む父親から、「今週の日曜日帰省してほしい」と突然電話がありました。
今まで「帰省してほしい」ということを言われたことは一度もなかったので、心がざわつきました。
その数日前に父親に電話をする機会があり、その時に父親の声の様子がおかしく、父親に尋ねたところ「3日前から急に声が出にくくなった」とのことだったので、私はすぐに病院へ行くよう言いました。
声が出にくいというのは病気が強く疑われ、案の定父親は病気になっていました。
帰省して父親の顔をみると病人の顔でした。
母親は明るくふるまっていましたが、動揺しているのが分かりました。
父親が話があるということで2人きりで話をしました。
父親は自営業なのですが、既に仕事をやめる手配をいろいろしていました。
どうしても来週までにしないといけない仕事もあるらしく、それは私にお願いしたいとのことでした。
仕事の話だけかと思ったら、我が家の大事なものはここに入れてあるとか、貸金庫がどうのこうのであるとか、最後はお墓はこうしてほしい等と言った話になり、来週から入院するという話になりました。
2か月前に父親に会った際には元気だったのに、いきなり終活のような話となり、私は動揺しました。
子どもの頃に父親と遊んだ記憶などが走馬灯のようによみがえりました。
父親がポツリと言いました。
「大学を卒業した際に、就職氷河期にも関わらずキーエンスや大手製薬会社の内定を断って、その後税理士になってよかったか?」と。
私はその場で答えが出ずに、一瞬頭が真っ白になりました。
答えが出なかったのは、学生時代のアルバイトを除いては、税理士事務所以外での勤務経験がほぼなく、他の職業と比較できなかったためです。
税理士になってよかったか?という父親の言葉は岡山への帰路ずっと頭の中に残り、父親と二人で話したことを思い出して、涙がその時初めて出ました。
次の日に父親に「なんで税理士になってよかったのか?って聞いたのか」と電話をして尋ねました。
そうすると、「特に意味はない、いつも忙しそうだから」と言われました。
本当にそれだけなのか?と思いましたが、また涙が出そうだったのでそれ以上は尋ねませんでした。
「税理士になってよかったのか?」という質問について、(勤務税理士と開業税理士で多少考え方が異なるとはいえ)改めて考えるとよかったと思っています。
その理由は、まず、自分で選択した人生であること、そして(他の職業と単純比較ではできませんが)他者貢献への実感が大きく、さらにその質と量が圧倒的に高いことが主な理由です。
人生をかけて仕事をしている経営者のサポート業務は、非常に勉強になりますし、素晴らしい経営者との出会いは、自分の人生にも大きな影響を与えてくれます。
税理士事務所はかつて多くの事務所がブラック企業化していたイメージがあり、私も開業前に勤務していた事務所では、まともに休めた記憶がありませんし、有給なんて1日も取れたことがありませんでした。
自分自身が開業してからは、自分の価値観だけではなく、世の中の動きをしっかりととらえ、スタッフの働きやすさや成長を中心に、その中でやりがいや他者貢献を見出せるように事務所運営をしてきました。
それでも、世の中の労働人口の減少、人材の採用や退職等大変な経営です。
私は父親に対して「税理士になってよかった」とはっきりは伝えることはできていませんが、スタッフに「うちの税理士事務所で働いてよかった」と言ってもらえるよう経営することが責任だと感じています。
税理士という職業は、開業税理士の場合、経営という要素が加わります。
税制も答えが見つからないようなケースが一部ありますが、経営にはもっと答えが見つからない部分が多いです。
この答えを探していくことがこれからの人生のテーマかもしれません。
なんだかまとまりのないブログになりましたが、今日はここまで。
ではでは~、また次回のブログにて(^_-)-☆